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ほぐしをほぐす~セラピストのコリほぐし~Vol.1①癒しはエンターテインメントで、エンターテインメントは癒し


小松:セラピストという職業のイメージってあるではないですか。

アロマの先生に対する人の目ってあるんですね。

珈琲飲まないんじゃないかなとか、お肉食べるのかな、とか。

私もレコード会社という、いわば粗雑な会社からセラピストに転身して、

自分もアロマの先生に抱いていたイメージがあるんです。

でも自分のアロマの先生がコンビニのお弁当食べていた時に、「わあ!いいんだ!」と思ってほっとして。

忙しいときにはそういうこともチョイスするんだなと思ったら

すごい楽になったことがありました。

この業界、癒し業界に入って一番注目されるのは、

「レコード会社からよく転身しましたね」という切り口。

そこなのか、と思うんですけれど 笑

そんなに…すごい転職をした感というのは…

まあ当時はあったかもしれないのですが、

今思い起こすとあまりありません。

レコード会社ってストレスかかりそうだねって思われますけれど、

心の面ではのびやかに仕事をしている面もあったりします。

今も、癒し業界に関しても好きなことを仕事にしているから、

あんまりストレスではない。

すごく仕事が変わりましたね、というのもないというのがまず1点。

あとこれは最近自分が腑に落ちた点なんですけれど、

私はやっぱり「五感」が好きなんですね。

だから「五感業界」にずっといるという感じ。

視聴覚が優位な部署から、

触覚と嗅覚が優位な部署に異動しただけで、

体感すること、五感に響くことが好きだし。

ずっとモットーにしているのは、

癒しはエンターテインメントで、エンターテインメントは癒し」ということ。

レコード会社にいたのって20代の8年ぐらいなんですけれど、

そこのライブの場にきている人が明らかに幸せそうとか、

元気になって帰っていくのとかを体感して、

ああいう現場はすでに立派な癒しだと思っていますし。

私はたまたま、世間から見ても

「癒し」というわかりやすい職業を選んだから

「セラピスト」と呼ばれている。

癒しって別にわかりやすいものだけではなく、

本当に、1億人いたら1億人が

セラピストの資質をどこかに持っている。

ただ、私はそれをわかりやすく

プロフェッショナルとして提案する立場に来たというだけなので、

あんまりそこに関して

「ザ・セラピスト」というような献身的なメンタリティはないですし、

言われるほど転職した感じがないんですね。

十音(以下略)――癒している、と言われることに違和感はないですか。

癒しているといわれることに対する違和感「しか」なかったですね 笑。

興味をもった対象が「癒しにまつわること」だった。

私が提供した仕事が人を癒したという事実はあるんです。

でも誤解を恐れずに言うと、

そもそもそんなに人を癒したいと思っていないというか 笑。

音楽に興味があったから音楽を仕事にしました→

ストレスが心に与える影響に興味を持ったから、

アロマセラピーを始めました。

それは人を癒したいという気持ちではないんです。

ストレスと心の関係を知りたい。

それを知ると、結果的に身近な人が癒されるし、

身近な人に対しては癒しを発動したいけれど、

その「人」は結構局所的で本当に自分の身の回りの人でよかった。

でも自分が選んでしまった職業の性質上、

もちろん求められているものは解っていたので、

だったらプロフェッショナルとして

そこに対して100%以上のものを提供するのは、

大人としての義務だと思っていました。

自分のサロンを始めてからは、

どんな方でもご縁があることがうれしく、

ありがたく感じられるようになりましたね。

――小松さんのセッションは

「禊のようなセラピー」って言われますよね。

禊の120分は本当に

ライブに行ってすっきりする120分と同じだと思うのですが、

小松さんはその120分をライブのように構成するよう

意識されているんですか。

(写真:小松ゆり子さんホームページ より)

すごく意識しています。

例えば私のセラピーは

フル・セッションだと120分を提供しているんです。

でもたとえばイベントとかで15分で提供するようなこともあるでしょう。

そういう時はフルではできない。

15分の中で解りやすくできること、

解りやすくこの人が求めていることを

どれだけできるかというつかみの部分をチョイスしてメドレーにします。

メドレーでもちぐはぐなメドレーじゃいけないから、

それぞれ個別の内容が

個体として一個になっているみたいな感じは作ろうと思ってます。

例えば、

ピアノのソナタで第1楽章、第2楽章、

第3楽章ってあって

全く違うテンションの曲が

一つの楽曲に入っていたりするでしょう。

私は自分のセラピー体験や学びの中から、

自分が受けるのも好きだしやるのも好きなポイントを抽出しました。

そうすると結構バラバラなんですね。

静かなタッチ。

温かい石。

クリスタル、アロマ、ストレッチ、ムーヴメント!

だからその素材がどうやったらフルセッション120分でまとまるかなというのは、

一つの音楽の構成について考えるようです。

それこそ音楽を聴いていると、

第2楽章の静かにおわった余韻ののちに、

全然違う第3楽章が来ても、成り立っていますよね。

ああいうつながりを生む「間」の部分は大事にしようと思っています。

相手に触れるファーストタッチの

オイルが塗られる音をきれいにしたい、

とかは思ったりします。

クラスの中では生徒さんにも同じように言っています。

そこに美が宿る気がするんです。

でも、それだけできていても肝心の技術がないと、

ちょっとちぐはぐな感じになっちゃうかもしれませんが。


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