*食べなさい、わたしのからだ、飲みなさい、わたしの血
↑五行的な考え方だと、
これはとっても腑に落ちる言葉なのですが、
当時、人はこの言葉に少し混乱したようで、
パンはパンであって、からだではないと。
血液循環説もルネサンスの、
ダヴィンチの時代にはなかったわけで、
ワインがめぐり巡って血になると結びつかなかったのもそうだろうなと思う。
逆にだれかのからだが巡って、
パンになるかもということも、考えなかっただろう。
でもイタリアの人達を見ていると、
パンもワインも、みんな消化されたとたんに言葉になって
口から即!息となって出ているという感じ!
エネルギーの流れがよく見えて、本当に興味深かった。
それは「食」というより「食卓」というアートで、
食レポにはあまり興味のないわたしも、
食べて語る人、人、人、にみとれるような旅でした。
さて、胃腸の細胞が2-7日間ぐらいの周期で新陳代謝しているとしたら、
今のわたしの胃を作っているのは大部分がイタリアで食べたもののはず!
以下、くどいですが、
わたしのからだ、わたしの血、わたしの食卓シリーズです。
Day 1 出発!成田でいつもの儀式。機内では日本食にしました。
Day1 ミラノのホテルにて。ホテルに着くとまず「スーパーありますか?」と訊く。
お総菜を買って州のワインとイタリアビールを飲みます。毎日、水の大きなペットボトルを買うので、その土地のスーパーの所在は絶対に把握。
Day2 中央駅近くのホテルで、毎朝カプチーノとクロワッサン、ほかビスケットなど用意してくださいました。午後にナヴィリオ運河沿いで魚介のフライを食べてビールを飲む。
またConad(スーパー)でお惣菜を買って夕食。
Day3 コモへ!地方の蕎麦パスタ、いのししの生ハム、辻家お勧めバルでアペリティーヴォ、辻家でコモ湖のマスに、サルシッチャ!本当にありがとう!またこの日については書きます。
Day4 月曜日でどこも開いていない、クレモナに地味に行き、大好きなルネサンスーバロックの作曲家モンテヴェルディ巡礼をして、夜はミラノのスカラ座でワインを飲む。
Day5 ヴェネツィアへ移動。特急フレッチャロッサのカフェでサンドイッチとワイン。現地でスーパー探しに難航(笑)。番頭さんが好きなカビチーズは、いつも一晩では食べきれずに、厳重にパックされた上でスーツケースで次の目的地まで輸送されることが多いです。
Day6 辻康介さんから紹介していただいたオステリアで、ヴェネツィア!っという感じの食事をする。番頭の頼んだペペロンチーノの周りの壁はチーズでできていて、それは少々Too muchだったらしい。二人とも40代だからねん。
Day7 ヴェネツィアからパドヴァ経由、大変な時間をかけて、ボローニャの宿へ。スーパーは駅にしかないと言われ、また歩いて10分ほど戻る。野菜が不足するとミニトマトを買うのが常。トマトおいしい。
Day8 ボローニャでラグーのタリアテッレと、クリームソースのコトレットを食べるという、王道。
Day9 フィレンツェのairBnBは、中央市場の隣。ビールを飲んで、下のファーストパスタでまたタリアテッレを買って、時間切れしたのでパスタを持ったまま部屋へ行く。夜はまたスーパーでワインを仕入れて飲む。AirBnBにつき、皿やカトラリーなし。こういう時のために、行きの飛行機のカトラリーを捨てないのが常です。6階建てぐらいの宿の最上階、階段なし。オペラ「ラ・ボエーム」の若者気分でした。3階の踊り場に、休む人用の椅子が置いてある。
Day10 朝、広場のカフェでカプチーノとペストリー。聖ヨハネの祝日で街は古式サッカーの試合やパレード、花火あがったり大騒ぎ。粛々とワインを飲む。
Day11 アッシジへ。地方のパスタと、地方のワイン。
Day12 宿の前のバルにて、カプチーノを頼んだら「カプチーノ・スペチアーレ(スペシャル)だな?」と店主がチョコレートで模様を描いてくれる。昼は地球の歩き方にも載っていたレストランに行ってみて、おじじの散骨をしたあとまたお腹が空いて夜はトラットリアに入る。愛想はないけれど誠実な女性がもってきてくれる家庭料理がどっしりおいしかった。
Day13 ナポリへ。モッツァレラをごろっと。トマトのパスタ、土地のワイン。言うことなし!
Day14 ソレントでビールを飲み、夜はいわしのパスタ。ワイン1本。
Day15 スパッカナポリの有名ピザ店で今回初ピザを果たし、エスプレッソとババを食べて、夜はモッツァレラチーズごろり。この夜飲んだワインはジャスミンの花の香りがしてすごく色っぽかった。
Day16 朝のバル・メキシコ。ナポリを発ってローマへ。わたしはガスパチョ、番頭は「イタリアのお茶漬け」とでも呼ぶらしいカーチョ・エ・ペペ(山羊チーズと胡椒で和えたパスタです)
Day17 アッピア街道帰り。見つけた店でカーチョ・エ・ペペを食べたら、店名が「カーチョ・エ・ペペ」だった。トリッパの煮込みも食べる。
Day18 ヴァチカン帰り。トラステベレで。番頭はまたカーチョ・エ・ペペを食べております。十音はカルボナーラです。ローマが発祥といわれていますが定かではありません。
Day19 ゲート前にビールを飲んで遅刻しそうになり、滑り込んだ機内のラザニア。おいしかったです。ケーキは食べられず。
Day20 成田に降りる直前の朝食。雑司が谷でスーツケースを引きながら「大村庵」へ。カツとじと、たぬき蕎麦を…出汁がおいしい!
大概、1日2食以下の旅をします。
夕食はその土地のスーパーで済ませてしまうことが多いのですが、
(前回イギリスはパブ巡礼でしたし)
イタリアは果敢にレストランにチャレンジしたほうです。
現地のパスタを食べてみたかったし、
食べる人の中に身をおいてみたかった。
アペリティーヴォも含めて、食卓で語り合う人たちを眺め、
食器の触れ合う音、咀嚼、語る、飲む、語る、食器、というのを聴いているのはとても楽しい時間でした。
食卓に、二人以上の人がいれば、そこには愛がある。
おじじこと、ロレンツォ・ボナヴェントゥーラ小澤高志が教えてくれたフレーズですが、
とにかく口に食べ物を入れては、 他人を聴きながら咀嚼し、
つまり、他人の言葉も咀嚼し、
飲み込むと口から自分の言葉を出す。 ワインが血と唾液になり、 食べ物がみんな言葉と息になっている感じ。
以上。食卓レポでした。