月曜日は午前のセッションを終えた後、
少しデスクワークをして、
もうすっかり暗くなった夕方、出かけました。
目白の田中屋で買った赤ワイン2本を持って。
恵比寿の西口駅前の辻にある、
「山小屋 Gallery and Shop」の前にはすでに紙コップを持った人々があふれ、
その中で赤いニットのジャンパーを着て
サッポロビールの発泡酒のカンを片手に、寒いのに皮のサンダルで、ひときわ陽気なラテンの人がいました。
あれが、ここに「住みながら」個展をしているコバヤシエツコ(エツツ)のパートナーで
パリの59Rivoliというなにやら元、廃ビルを占拠して
有数の現代美術施設としてしまったという3人のアーティストのうちの一人、ブルーノらしい。
パリのおまわりさんを追い返す姿から想像していたよりも、小柄で、鋭い感じの人だわ。
プロデューサーの新谷さんにお客さんを紹介されていたブルーノと目が合い、
にっこりとしてもらったので、許可されたこととし、
いそいそとビニールぶくろからワインの瓶とお猪口を取り出し、
挨拶のかわりに乾杯。
川内有緒さんの著書「パリでメシを食う。」の《1区》に登場するのが、
アーティストのエツツとブルーノです。
彼らは今日まで、
を開催しています。
訪れる人が小さな絵をエツツに描いてもらうのを眺めたり、
フランス語とか英語とかイタリア語とか、
「もうRivoliにいろんなヤツがいるから何語でもおっけー!」とか言っているブルーノと
内容はわからないけれどハッピーな話をしたり、
鋳造を仕事にしている、という職人さん家族に会ったり
そこにいるお客さんと、フェイスブックでつながってみたり、と。
エツツの作品には、
スカートをまくりあげた女の子や、
排泄がテーマのものがあり、
それらは実は、わたしが人生で一番苦手で、直視できないものだったかもしれません。
あまりそれを知らずにクラウドファウンディングに参加し、
発送作業を手伝い、
届いた画集を見て、おっと、、、と正直感じたのですけれど、
エツツと川内有緒さんが画集を眺めながら語っているCDを聴いていたら、
有緒さん: やっぱりその、人間の排泄が、すごく大事なことだっていうことなのかな?
エツツ: サイクルだからね。もともとあったサイクルじゃん。ほんとに、理にかなってるじゃん!それ勝手に壊していくわけじゃん人間は、まあ、らくしたいからだと思うけど…
こんな風に二人がさらりと言っていたので、
そうか、サイクル、サイクル、さっき入ったものが出てるだけか、と思って山小屋に入ってみました。
(ちなみに、エツツも、本から想像していた子猫のようなイメージとは違い、
声帯がびりびりと震えるような、力強い声を出す人だった)
ブルーノも、「サイクル」に関して相変わらず発泡酒のカンを片手に力説していて、
小さなサイクル、ということについて考えました。
自身の創造性を、小さなサイクルで力強く回すことで、
求心力ができ、
爆縮のように、寛容な愛が回りにあふれるということ。
実際、
ワインをしこたま飲んだ私たちは
楽しく2時間半も居座っておいとまし、
アトレのトイレに駆け込んで、
恵比寿の天下一品でラーメンを食して、
楽しかったねえ、楽しかったねえと言いながら帰ったのです。
ここにも小さなサイクルがありました。
それにしても、ハードな個展ですね。
人通りの多い十字路に面したガラス壁のギャラリーに寝泊まりし、
人を迎え入れ、絵を描く。
それを支えるスタッフも、打ち合わせに戻ったり、来た人たちを紹介したりしながら、
フル稼働で支えているようです。本当におつかれさまでした。
写真は、家に届いたカードです。
十音の壁のコレクションは、なかなか変わっているかもしれません。
足が好きなわたしを、「あはは!へんなひとー!」といってエツツはハグしてくれました。
嬉しかったですね。