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熱を放つ。


radiate

趾はその人の末端。

末端ばかりが冷たく湿って、どうにも温めようがない、というケースは多く、

「足首を冷やさないで」

「ふくらはぎの運動を」

「冷え性には生姜など体を温める食べ物を」

などとアドヴァイスしますが、

どうもそんなに簡単に改善するものではないらしいのです。

皮膚の温度が下がるのを止めるには、

周りを温かくすることが解決法だったと思っていましたが、

もう少し複雑でした。

人間の体温には、触って感じられる「皮膚体温」と、

内臓など中心部の「深部体温」があります。

深部体温は37度ぐらいが人間にとってちょうど良いようで、

皮膚体温はそこからずいぶん低いようです。

足は31度ぐらいになっているみたい→

http://www.terumo-taion.jp/health/hiesyo/01.html

(テルモ体温研究所より 「冷え性」はなぜおこるか?)

脳の体温調節機能や、体内時計にしたがって、

深部体温と皮膚体温は密接に関連しながら身体を運営しています。

【状況①深部体温をあげるために皮膚体温を低くする】

寒い。必要なエネルギー(食物とか、温かい飲み物とか)も入ってこない!

→これは危機だ。身体の中核の機能を守るために深部体温を保たねばならない!

→末端からその分のエネルギーの流れをカットして熱を確保。(家計みたい・・・)

=つまり、末端の血流は少なくなり、皮膚温度は低く、末端冷え症状態になります。

【状況②深部体温を下げるために皮膚体温をあげる】

本日営業終了。眠ろう。

→身体の機能を抑えて休ませたい。

→深部体温を自ら低くして睡眠状態をつくります。

=このとき、末端の血流を促し、熱を放射させます。

眠そうな子どもや猫の(?)手足があったかくてぐんにゃりしているのは熱放射中ってことですね。

深い睡眠ほど、この体温差が大きいそうです→

http://www.terumo-taion.jp/health/sleep/01.html

テルモ体温研究所より 「睡眠と体温」

(この実験がまた72時間座ったり横になったり測ったりと過酷で、

被験者に同情してしまうのですが。…感謝。)

さて。

リフレクソロジーのセッション始まりに

湿って冷たかった足が、

突然温かくなったと思ったら寝息が聞こえてきた、

ということはよくあります。

きっと、【状況②】なのですが、①の裏返しとしても考えられるかも。

いつも緊張状態で、交感神経が優位。

身体も心もずっと危機感でいっぱい。

足先なんかに熱をやるものか、と内臓がびくびくしているその人は、

身体が少し安心すれば足先まで熱がくるかもしれません。

冷え症改善の余地ありかも。

突然スーッと冷えた場合、

十音はもちろんエアコンの温度を上げてみたり、

身体がちゃんと毛布で覆われているか見ますが、

クライアントは寝息を立てています。

どうやら【状況①】ではないらしいとき、考え当たるのは、

反射区と経絡への刺激により内臓の機能が上がって、今、血流を必要とし、

末端へのエネルギーをカットした上で、内臓に安定供給→副交感神経優位で眠りに落ちたのかもしれない、ということでした。

その場合、クライアントの普段の状態が気になります。

普段冷えは「気になりません」発言は、

普段から省エネしています、の意味かもしれないし…。

足は「冷たい」のではなくて、

「冷たくなっている」ということがよくわかります。

私たち自身が、自分を冷やしているということ。

そこにはしくみがあり、

深部体温の維持や、

睡眠や日中の活動といったリズムやエネルギー配分と関わりあっているんですね。

もちろん「ポンプ役」のふくらはぎを鍛えたり、

レッグウォーマーをすることも

「熱生産と保温」からすると効果ありなのですが、

それでも改善しない場合には、

足裏の反射区と経絡は、

とてもたくさんのヒントを与えてくれるはず。

腑に落とすには、原因となる臓腑を見立てなくては…

おまけ

写真は、先日母校のIMSIで見せて頂いた、芳香植物の蒸留器。

右側のぐるぐるガラスは、蒸気の熱を放射させるためのラジエーターとなっています。

窯で植物がぐつぐつと蒸されれば、ラジエーターも熱を放ってフル活動。

内臓と末端もしかりかな、とか(しかも、人体は循環ありですしね)。


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