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あき。


子どもを産んだり育てたりできなくても、

立派なおとなに、人間になることはできるかもしれない。

人の居場所をつくり、

パブのビールを注ぐ人のような役割が、

できるかもしれない。

この本を5,6年ぶりに読み返して、そう思いました。

この3日間ぐらい、雑司が谷に缶詰めになることができます。

ここにいるぞと決めると、モノコトが動くというのは面白いことです。

朝の予約ははいっていないので、

遅く起き、きちんと朝を食べ、

番頭とそろってしごとをし、

夕方は走りに出て、

きちんと晩酌をする。

人には、

お金をかせぐためのしごとも、

生きるためのしごとも、

両方あります。

どちらかしかやっていないからと自分を責めることはない。

そういえば

骸骨ビルの庭に出てくる、

八木沢さんという男性は、

「待つ」ことが得意です。

古いビルに居座る住人を立ち退かせる役を背負って、

管理人室に住みますが、

出ていけと一言も言わず、

人に問わず、

人の意思を図りながら、

土を耕し、

土を作って、

苗を植えて、

害虫や雑草と日々格闘し、

きちんとご飯を食べ、

マイナスな言葉をいなし、

読書をし、

人と会話をします。

結果、1か月近く早くしごとを終えます。

特に、きゃべつを日々刻んだり、

オムレツを卵21個分食べたりと極端なのですが、

本人はいたって淡々としているところに安心感があります。

父が先日、

「お父さんの寿命があと10年だとして」と

さらっと言いました。

年齢を考えれば現実的な年数ではありますが、

自分がその年齢になったとき、

何かを「待てる」だろうか。

クリスマスをあと10回。

わたしは立派な大人にならなくてはいけないと思う。

さて、骸骨ビルの庭、は

上下巻ありますけれど、

講談社文庫の文字の大きさと行間が好きなわたしは、

装丁も好きだし、

めくる感触もよいし、

4夜ぐらいで、読み直し終えました。

どうも外国文学に食指が動かないのですが、

漢詩ぐらいからはじめて、翻訳本もいってみようかな。

読書の秋ですね。


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